« 国鉄型電機の主張 | トップページ | 着雪のカシオペア »

2016年1月22日 (金)

D5の価格について思うこと

昔、フィルム時代のカメラとして高嶺の花だったハッセルブラッド。レンズシャッターの500CMのボディが当時¥350000ほどで、ニコンやキヤノンのフラッグシップ機ですら足元にも及ばないほどの価格。学生だった自分にはもちろん手の届くものではなかったが、レンズの描写力なども含めてあこがれの的だったことは間違いない。プロのカメラマンのステータスでもあって、ファッション写真の分野などではこのカメラを使っているかどうかで、その力量が判断されたという逸話すら残っているほどだ。

それが今やデジタル一眼の時代となっては¥500000という機種もザラ。3月に発売されるニコンのフラッグシップD5などは実勢価格¥750000になりそうだというのだから物価の上昇を考えても驚きを禁じ得ない。昔の物価を単純に今と比べるのはおかしいとは分かっていても、ハッセルだって軽く2台は買えてしまう。

もちろんデジタル時代のハッセルも手が届かないほどの価格に上がっているが、それにしても¥750000という価格は軽自動車にも手が届きそうな金額で、カメラの高性能化を差し引いて考えても、ある種の「とんでもなさ」を感じてしまう。Dの一桁機を主力機種としている新聞をはじめとする報道機関にしても、組織に属するカメラマン全員にD5を2台ずつ貸与することは、よほど体力のある会社ではないと難しいだろう。リオ五輪を前に送信手段、事前取材への予算、渡航費などにも金がかかる状況を考えると、4年に1度のモデルチェンジ(マイナーチェンジは2年に1度)などを繰り返されていては、たまったものではない。マスコミの中でも今度のD5は五輪取材に行くカメラマンだけにしか配備しない社があると聞いている。
もちろんメーカーはマスコミに対してそれなりの優遇をするとしても、考えてみればほぼ使用することのない動画機能までもふくんだ高価格のカメラを、現場が要望するまま2~4年ごとに更新するようでは会社の財務、経理部門としては見識を疑われる。当然の話だろう。

カメラメーカーはこのようなサイクルで、フラッグシップ機のモデルチェンジをこれからも繰り返すのだろうか?オリンピックのたびごとに新型機を発表していけば次の冬季五輪を終え、いよいよ東京五輪となったときに発売されるD6(仮称)は¥800000にも届いてしまいそう。新聞の購読費の値上げなどを考えなくては、東京五輪を乗り切れるかどうか危うい一方で、無闇に上げたら読者がネットに流れてしまう恐れもあって難しい選択となる。

今回のD5の価格にはそんな思いをもってしまった。「カシオペア」の終焉に間に合わせようと自分も早々に予約を入れたクチだが、これまでD3、D3S、D4、D4Sほか、さまざまなデジタル一眼を使ってきた者としては、これまで1度も使ったことのない動画機能だけでも外して価格の高騰を抑えて欲しいものだと切に思う。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

お分かりの方も多いかと思うが、長万部の国道5号のオーバークロス上から2014年4月に撮影した「トワイライトエクスプレス」。今年の年賀状用写真の候補の1つになったカットだ。
ニコンD4Sで850ミリ換算では、まだこの位置(上の2枚)では列車が大きく写らないから当然トリミングした。ピッタリのサイズは1400ミリ以上が必要だと考えるが、そんな画角にしたらいくらまだ寒い4月の北海道とて陽炎で酷い画像になってしまっただろう。さっそく翌5月にDX機のニコンD7100を1050ミリで再挑戦したが、やはり画像素子が小さくなるDX機では、いくら画素数がアップしてもFX機のD4Sを凌駕するまでには至らない。ほぼ同等の結果だった。

ここは無理なトリミングをせずにFXで中央のようなヨコ位置でとどめる方がクレバーというもの。DX機に過度な期待は禁物。850ミリでは下の写真がほぼノートリ。

(写真、文:U)

_dsc18701
_dsc1874_2_2

_dsc19022_2

|

« 国鉄型電機の主張 | トップページ | 着雪のカシオペア »

カメラ」カテゴリの記事

執筆者U」カテゴリの記事

携帯・デジカメ」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

コメント

いつも最新機材を導入したU様の写真を興味深く拝見させていただいております。
私はEOS1DXの後継を待っているのですが、今回のD5が75万というのを聞いてもしかすると80万なんていう金額になりそうな気がしています。当然予算オーバーです。
素人考えでは4K動画搭載が価格高騰の理由だと思います。U様のご意見どうりで動画機能を外した同じ性能で50万のカメラがあれば十分だと思います。また写真趣味と映像制作はまったく違う世界だとも思います。
一方で4K動画の画像切り出しは800万画素で、新聞で使用する報道写真は動画切り出しの方向に行く気がします。
鉄道ファン誌上で広田尚敬先生が「今後は動画で鑑賞、必要な静止画は切り出しの方向に向かう」と書かれていました。
「それは写真ではない」という思いは私もあるのですが、一秒間に20~50枚の画像から瞬間を選べることは格段に便利です。
従来からの瞬間芸の写真と同時に、静止画取り出し目的のための動画記録という新たな流れができるカメラと考えると、75万円は高いけれど価値はあると思います。

投稿: さかい  | 2016年1月24日 (日) 17時37分

「さかい」さま
ニコンやキヤノンのフラッグシップ機の高騰はある意味、当然なのですが、特にニコンの場合、デジタル一眼にムービー機能を搭載してもキヤノンのようにムービー専用機が現段階ではないわけですから、4K動画の素晴らしさに気づいたユーザーが増えたとしても、行き着く先はソニーなど家電メーカーのムービー専用機に流れていってしまうのではないかと思います。個人的にも今のスチールカメラの形をした機材では動画を撮る気にはなれませんから(そういう機種があるかどうかは知りませんが同じように、ムービーカメラでスチール写真を撮るのも気乗りしません)。
当然、ニコンもD5を買った人がスチールを撮らずに動画を専門に撮影するとも思っていないでしょう。したがってデジタル一眼にムービー機能を搭載するのは動画からの「切り出し」の時代への布石ということだととらえております。願わくばムービーを搭載した機種と搭載しない2つの機種があればありがたいのですが、生産する上で不都合なのでしょうか。

今後、新聞写真も動画からの「切り出し」の方向に流れていくのはほぼ確実です。ただ、今の段階では厳密に言えばまだ動いている被写体を静止画に落としてもブレが目立ちます。この問題が完全に解決したあかつきには、一気にその方向に向かうのでしょうが、報道の分野ではスチールとムービーとの取材位置の振り分けなどもあるようで、スチールカメラマンがムービー機を手にしてスチールのポジションに入ることは特にオリンピックなどでは厳しいと聞いています。将来的にはそうした問題も検討されなければなりません。

「さかい」さまの言われる「「それは写真ではない」という思いは私もあるのですが、一秒間に20~50枚の画像から瞬間を選べることは格段に便利です。」―の部分について言えば、この先、写真を撮影するだけではなく、コマ落としのために画像から「瞬間」を選ぶ選択眼が重要となって、カメラマンよりもエディターとしての能力が必須になると予想しています。少なくとも今のスチールカメラで先頭車両の前面に信号機の影などが落ちている写真を平気でブログにアップしているような方々は、(生意気ですが)そのことに早く気づくべきでしょう。

かく言う私、D5を入手したら4Kとやらを試してみようと思っています。そうすると自宅でほとんどテレビを見ない自分としてもリビングのテレビを4K対応機にしなければなりません。これも厄介ですね。

投稿: U | 2016年1月25日 (月) 10時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1215589/63584361

この記事へのトラックバック一覧です: D5の価格について思うこと:

« 国鉄型電機の主張 | トップページ | 着雪のカシオペア »