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2015年2月 2日 (月)

1台のカメラで

前回の自分の記事で昔のカメラ雑誌がSLファンをあまり相手にしていなかった旨のことを書いたが、たしかに思い出してみてもその印象は強く残っている。

当時、自分は小学生から中学生。蒸気機関車末期にようやく高校に上がったが、本屋に行くと鉄道雑誌だけではなく、「アサヒカメラ」「カメラ毎日」「日本カメラ」の3誌にも必ず目を通していた。カメラやレンズの新製品および中古品の相場などを探るためだったが、そこに掲載されていたヌード写真を見るためでもあった。
もちろんこのころには「平凡パンチ」や「プレイボーイ」「GORO」など若い男性向けの雑誌もあったが、そんな本に載っているモノよりも写真誌に載っているヌード作品はヘアが見えるものが多いということに気づいていたためだ。正直言えば芸術性の高いヌード写真でも、色気盛りのガキにとってみれば毛が見えるか見えないかといった関心の方が高く、この辺はいかに「平凡パンチ」などをもってしてもカメラ雑誌には及ばない。だから、そんな写真が載っているものはしっかり買った。

理由の不純さはさておき、かようなわけで当時からけっこう目を通してきたカメラ雑誌、しかしどうしてカメラ雑誌には蒸気機関車の写真があまり載らないのかという疑問も湧いた。

あのころの広告で印象的なのはレンズメーカーのコムラーや三脚メーカーのスリック。ズームを使えば走ってくる蒸気機関車を何度も撮れるとか、三脚にカメラを複数付けることが可能なダブルプレートを装着し、伯備線の布原に集まったSLファンを広告写真に使っていたが、蒸気機関車の写真そのものは作品としてほとんど掲載されないことにいつも違和感を覚えた。

そんなとき、その疑問の回答になるような強烈な文章を月例コンテストで見かけた。
入選か佳作かは忘れたが、コンテストに入った蒸気機関車の写真に評者が一応は褒めているものの後段では、「…どうせ三脚にカメラを複数付けてファインダーをのぞかずに撮影したのではないか。しっかりカメラをのぞいて撮れば、フレーミングがもっと良くなっていたはず。ファインダーというものがあるのに、それを使わないのは…」という主旨のことが添えられてあった。言外に「だから蒸気機関車の写真なんぞ…」という感覚が、当時の中学生であった自分にもありありと漂ってきたほどで、そんな撮り方をしているからカメラ雑誌はSLファンを相手にしないのだと強く印象づけられたものだった。

思い返せばあのころのコンテストにはその後、鉄道雑誌で活躍された柴田和男さんや原京一さんをはじめとする蒼々たるベテランが応募していたが、どうもカメラ雑誌での鉄道写真は鬼っ子。被害者意識的な言い方になってしまうが、かつてはそんな扱われ方が普通だったように記憶している。

だから今回の「アサヒカメラ」の鉄道写真特集には隔世の感を抱く。
広田尚敬さんをはじめとするプロ作家の方々の努力が実を結んだとの素直な受け取り方がある一方、良いとか悪いとかは別にして遂にカメラ業界、ひいてはカメラ雑誌の世界も鉄道や飛行機、レースなどの乗り物写真を組み込まなければ商売にならなくなったのかという皮肉な見方が自分の中で支配的。
あの時代の写真誌を垣間見ているからこそなのだが、どうにもこの印象が払拭できず、手放しで楽しんでばかりはいられない。

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1月9日にアップした画像と同じ時に撮った「トワイライトエクスプレス」。複数のカメラで撮っているわけではなく、同じカメラで撮影した。
前段で書いた昔のカメラ雑誌に掲載されたコンテストの選者の評に影響されたわけではなく、自分自身もファインダーを見ずに複数のカメラで撮ることを、あまり潔しとはできない。

それに最近はカメラの性能もグンと上がって、前のコマでもトリミングでじゅうぶんに大きくできるから丁寧に1台のカメラで複数枚、撮った方が無難で、むしろ2台以上のカメラを同時に扱う方がリスクが高いとすら感じる。

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実はここしばらく激しい胃の痛みに襲われていて前回、前々回などは薬を飲んで痛みが治まっている時を見計らってごくごく短時間で記事を書いた。そうまで して書いても仕方ないのだが、このブログだけで軽く1000本以上の記事を書いてきたから、これはもう半ば習慣化してしまっており、逆に書かないと不安にかられてしまう。端から見ればどうでも良い執着だが、それが途絶えてしまうと熱も冷めてしまい、一気にこのブログを維持することなどどうでも良くなってしまいそう。ブログの言い出しっぺでもあり管理人的矜持もあるから、どうにか踏ん張ってはみたが、Iさんの記事は大変ありがたいし、執筆者の1人としてではなく1読者として単純に楽しませていただいた。仲間とやっていることのありがた味が身にしみる。

やっと痛みも緩和され今日は少しはマシになったが、歩けないほどだった痛みの余韻は全く消えたわけではない。酒や消化に悪い食べ物は控えて、飲むヨーグルトやプリン、玉子豆腐などで食いつないでいる。

(写真、文:U)

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